自分らしい人生を送るために!性同一性障害の人たちへの正しい理解が広まることを期待する

 昨年秋、最高裁で性別変更の手術要件めぐり特例法の規定は憲法違反という判断が下されたのは皆さん承知のことでしょう。法律の規定を最高裁が憲法違反と判断するのは戦後12例目というのも驚きでした。これはさて置き、最高裁判所大法廷は戸籍上の性別を変更するには生殖能力をなくす手術を受ける必要があるとする法律の要件について、「意思に反して体を傷つけられない自由を制約しており、手術を受けるか、戸籍上の性別変更を断念するかという過酷な二者択一を迫っている」として憲法に違反して無効だと判断したのです。「手術の強制は重大な人権侵害で憲法違反だ」と訴えた当事者は、すぐには性別変更がかなわず、先延ばしになってしまったことは残念だが、予想外の結果だったと弁護士を通して述べていました。今後は国会で法律の見直しを迫られることになりますが、新たな要件を法務省が検討するのだと思います。
 この新たな要件が問題です。
「変更後の性別に似た性器の外観を備えている」という別の要件のため高等裁判所での審理のやり直しが命じられたからです。幼少時から自分が何者か、男なのか女なのかと問い続け、悩み抜き、自己否定して成長してきた当事者たちに、これ以上何を求めるのでしょう。
トイレや更衣室、名前を含め、学校や職場において奇異な目でみられたり、無視、あざけりの対象になったり、日常生活に大きな支障をきたしています。心身の健康を損ねる人は少なくありません。もちろん自死や自死未遂も報道はされませんがトランスの人たちは断トツ多いのです。
 今回の裁判で15人の裁判官のうち3人が、審理をやり直すのではなく、ただちに男性から女性への性別変更を認めるべきだとする反対意見を述べたといいます。
 手術は体を傷つけ、ホルモン療法も相当な危険や負担を伴うものです。また、合併症のリスクなど医学的な理由で手術ができない人がいるし、お金がなくて手術を受けたくても受けられない人もいます。手術をした人もできない人も、戸籍上の性別を変更できるようになることが大事なことだと思います。
 いろいろなことを言う人たちがいますが、当事者たちの実際の生き方を見てほしい!
社会における理解が進むことで解決できる問題は多くあります。
自分らしい人生を送るために!
今後の立法府での議論に期待するとともに、性同一性障害の人たちへの正しい理解が広まることを期待するとともに成り行きを見守っています。(※手術を否定しているわけではありません。望んでいる人もいますから。)