自分に必要な防災を今一度見直してみよう

 令和6年能登半島地震は、石川県輪島市と羽咋郡志賀町で最大震度7を観測した。能登半島西方沖から佐渡島西方沖に伸びる活断層を震源とする地震は、私が住む富山県でも震度5強の揺れがあった。阪神・淡路大震災と、熊本地震は強い揺れが15秒。能登半島地震は50秒続き16万棟に影響が出た。能登半島地震は海岸沖の活断層が連動し、ドミノ式に継続した地震とも言われている。日本列島は多くの活断層があり、他でも飛び火のように地震が起きてもおかしくない状況がある。
 平成30年ごろから能登地方は継続的に地震があった。特に令和2年12月ごろから地震回数が約400倍に増加していた中での今回の地震だった。M5.5の地震が16時6分に発生し、その4分後の16時10分に本震M7.6が発生した。日本海沿岸の広範囲で津波が観測され、他に家屋の倒壊、液状化現象、火災、隆起、土砂災害、交通網が寸断、奥能登地域を中心に北陸地方の各地で甚大な被害をもたらした。
 隆起と言えば令和5年11月火山噴火による硫黄島の近くに新しい島が誕生した記憶が新しいが、能登半島地震の隆起は、地面の最高隆起は4mに及び、海岸線は90km隆起している。観測上この大隆起は珍しく海岸では、海中や海面上わずかに顔を出す大きな岩、岩礁が露出し砂浜は拡大し風景が一変した。
 他に元日の地震は、帰省者の人的被害を増やし、半島での土砂崩れは交通網が寸断され自衛隊・民間による救助活動が難航し孤立状態が続いた。その中で能登半島中央部(手前)の七尾市では、黒の県外ナンバーのワンボックスが何台もいち早く被災地に入り、困っている被災者に対して高値でブルーシートが売られていた。また県外10代の男女も地震発生4日後には、被災地の住宅に侵入し窃盗で逮捕されていた。空き巣だけでなく避難施設での盗難も発生し、大変な状況の中で犯罪が横行するニュースは心痛の思いになった。性被害も気になるところだったが過去の被災地の教訓が活かされ、各避難施設に性被害の注意喚起のチラシが配布され、電話相談も開設されたので早期の被害者救済になっていたと思われる。
 現在、富山では被災地支援として日本フェミニストカウンセリング学会の支援金より、無料カフェのお手伝いを5月から月1回開催している(場所:輪島市、珠洲市、穴水町)。10月は、私たちが到着する前から現地で長蛇の列ができていた。私たちができることは、限られているが「今月も来たよ」と声かけし安否確認をする。9月豪雨の二重災害者も多い。仮設住宅に入り、やっと再建できると思った矢先の豪雨被害は追い討ちをかけられた状況に思う。なぜ、こんなことが起きてしまうのか・・・。これは考えても答えは出ないが、被災者から「私たちのことを忘れないで欲しい」の言葉を聞く。これには三つの思いがあると思う。また来て欲しい思いと、この震災を風化させてはいけない思い、これを教訓にして欲しい思いを大切に受け止める必要があるように思う。
 石川県は10月28日能登半島地震の対応を検証する委員会初会合を県庁で開催した。馳浩知事は冒頭のあいさつで「検証とともに評価もしながら、他の選択肢があったのではないかというところまで議論を広げてほしい」と要望している。今は頻繁に地震や豪雨が発生している。いつ、どこで、どうなるかわからない時代になってきた。自分に必要な防災を今一度見直しが必要なのかもしれない。

※この記事は、学会、フェミニストカウンセラー協会、フェミニストカウンセリング・アドヴォケイタ―協会が持ち回りで投稿しています。