「若者の死因の1位が自殺の国」

 7月21日 ちょっと驚くニュースを目にした。産経新聞の記事。 見出しは「広がる 若者の孤独死 3年間に 東京23区で742人確認、発見に死後 4日以上が 4割超 」。742人の死因は多くが自殺とみられるとのこと。3年で 742人ということは年間247人。若者が集まる日本の中心の町で、1年に250人の若者が自宅で一人ひっそりと命を断っているということだ。あまりのことに何をどう言ったらいいのかわからなくなる。
 自殺に関する統計を見ると、2023年、10歳から34歳の女性の死因の1位と10歳から44歳の男性の死因の1位が自殺である。10年前の2013年の統計を見ると、15〜34歳の女性、15〜44歳の男性の死因の1位が自殺となっており、自殺の若年化がうかがえる。諸外国でも若者の自殺は少なくないが、若者の死因の1位が自殺という国は韓国と日本である。
 苛烈な競争と失業、非正規労働の過酷さ、低賃金不安定雇用の展望のなさ、長過ぎる労働時間による疲弊と孤独等々、想像はできるが、おそらくもっと深刻な何かがあるのだろう。国は、少子化、人口減少、労働力の不足等々を言いながらなぜこの惨状を放置しているのだろうか。自殺対策をしていると言うだろうが、最大の自殺対策は何よりも住居と仕事、そして収入、万一の場合の社会保障。つまり安心だ。それなのに高い家賃、なかなか入居できない公営住宅、非正規化と不安定雇用、専門職を含むあらゆる業種に拡がった派遣労働、賃上げをと言いながら、最低賃金をたった50円しかあげないケチっぷり。教育費の高騰や医療費の値上げをはじめとする受益者負担という名の負担の増大、というか、ドケチ政策。さらには遺族年金廃止、介護職の給与の引き下げ、医療費の値上げ等々、「自分で生活できないなら、早めに死んでね」と言わんばかりの高齢者政策。これらの政策が子育て世代への支援を手厚くするためとして進められようとしている。
介護離職を見ればわかる通り、親たち上の世代が窮すれば、子どもら下の世代も窮するのだ。どちらかから絞り取れば、もう片方が潤うなどというものではない。共倒れにならないまでも、共に疲弊し、窮していく。
 そんな社会のどこを見ても「安心」はなく、人を粗末にしていいと考えているようにしか見えない。老後の生活に2000万必要だとか、3500万必要だとか聞こえてくるが、そんな金額貯められるわけがないし、私には妄言としか思えない。

※この記事は、学会、フェミニストカウンセラー協会、フェミニストカウンセリング・アドヴォケイタ―協会が持ち回りで投稿しています。