3月1日のぱたぱた日記

「わきまえる女」と「断らない女」

「女性というのは競争意識が強くて」「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかります」「私どもの組織委員会にも女性は7人くらいおりますが、みんなわきまえておられて」などの森喜朗氏(公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長)の発言にはあきれた。そのままそっくりお返ししますわと言いたくなって、20年くらい前のことが思い出されてきた。

住んでいた地域の自治会役員の当番が回ってきて、初めて役員会に顔を出したことがある。新興住宅地の役員のほとんどは専業主婦の女性、フルタイムで働いている女性は私を含め数人だった。男性は自治会長ともうひとりのみ。協議内容が読み上げられるも、反対意見はでない。企画の段取りや分担になると「その日は行ける、行けない」と声が上がりはじめ、それはそれでなかなか決まらない。そうすると男性の一人が訳知り顔にとうとうと語り始めた。私は「くどい」「で、それがどうした」と聞こえぬように呟く。長い話の区切りを見つけた古株の女性が「それでは…」とまとめに入る。神業のタイミング! しかし最後は自治会長がおもむろに口を開き幕が引かれた。男性は二人とも定年退職組のようだった。いつまでも場を仕切りたいんやね、ええとこどりしたいんやね、あんたたち女性たちの上に立った気になってない??と思ったものだ。役員会は、それ
っきり、二度と行かなかった。

いつまでも権力者の森氏。彼の「わきまえる」「わきまえない」という評価は、女性にだけ向けられているのではないだろう。部下など権力を持っていない人へも同じまなざしだと思う。下々のものは権力を持つ者に従順たれという宣言に思えてならない。だから、密室で会長人事の禅譲を画策できるのだろう。差別と権力と密接に関係する。

そんな森発言の余韻も冷めやらぬうちに今度は、こんどは「断らない女」が現れた。菅首相の息子から接待を受けたことが明らかになった山田真貴子内閣広報官。「イベントやプロジェクトに誘われたら、絶対に断らない、飲み会も断らない。断る人は二度と誘われません。幸運にめぐり合う機会も減っていきます」!!なんということでしょう。彼女は、確実に危険に「めぐり合う」機会も増えることをわかっていない。アルコールハラスメントもわかっていない。そうか、山田氏はさしずめ「わきまえる女」か。女性活躍のシンボル的に科書にも登場したらしい山田氏。女性のキャリア達成は、権力と支配を弱めるどころか強化へつながりそうで気持ちが悪い。

ともかく私は、断ることができて、かつ、わきまえない女であり続けます!!  

※この記事は、学会、フェミニストカウンセラー協会、フェミニストカウンセリング・アドヴォケイタ―協会が持ち回りで投稿しています。