「離婚後の『共同親権』をめぐって」
暑中お見舞い申し上げます。
そして、6月末から7月中の豪雨により被災された皆さま、その支援に当たられている皆さま、さぞかし大変な思いをされたことでしょう。どうかご自愛ください。
さて、この8月は、離婚後の「共同親権」をめぐって民法改正の要綱案が出されるのではないかと言われています。別居や離婚後の子どもの日常的なことを、別居親の了解がないと決められなくなるかもしれません。それで子どもの安全や安心した生活が守られるのでしょうか。考えの相違やモラハラや…様々な理由から別れを選択し、新たな一歩を踏み出しても、なお争いが続く。それは目指されるべきこととは思えません。
ふり返ってみると、2014(H26)年に超党派で設立された「親子断絶防止議員連盟」が、2016(H28)年には「親子断絶防止法案」を提出準備していると、報じられました。内容は、親子の継続的な関係維持が子どもの最善の利益であるとの基本理念で、面会交流に関して監護親のみへの努力義務が書かれており、子どもの生活の安定を保証するようなことが抜け落ちていました。当時、シングルマザーのグループを継続していた私たちは「何で? 結婚してた時から、もう断絶していたし」「モラハラで、お金ももらえず苦しめられたのに?」「今は貧乏だけど、やっと子どもとの平和があるのに」…口々に怒りや恐れや不安感。
別れるまでの家庭内では、夫婦間の力の不均衡やジェンダー規範の押し付けや、そうした中で巻き込まれる子ども。母子ともに心に傷を負って、回復には相当の紆余曲折あり、時間がかかるということを、私たちはたくさんの事例から知っています。それらが話し合いで了解できるようなら、逃げて身を隠すまでのことはしないのです。
破綻した夫婦やパートナーが子の日常のために話し合うとは、困難しか思い浮かばず、安全への配慮がないままの無理強い感。実際、面会交流を何としても行わなければならない、という相手からの圧(精神的暴力の継続)を受け続け、苦慮している監護親(おもに母)への支援はほとんど無く、むしろその部分(安全な交渉や、安全な「場」など)こそが子どもの安全にとって真っ先に必要なことと思いました(そんな重要なことが改善されず、今でも不十分なままです)。
その後、議員連盟は2018(H30)年に「共同養育支援議員連盟」と改称し、家族法見直し、面会交流強化の提言や申し入れを続けてきて、2021(R3)年に上川陽子法相が家族法制の見直しを諮問となったのです。以降、自民党法務部会からの提言(昨年6月)や、法務省による両論(単独・共同)併記の制度案(7月)、自民党法務部会の紛糾を経て、12月から今年2月まで、パブリックコメントが実施されました。
しかし、パブコメ結果が全く公にされていないのは、なぜでしょうか。8000件以上もの意見が寄せられたというのに。皆の声は不都合なのでしょうか。
今年4月まで法制審は「離婚後に子どもの重要事項に関する決定を行う際は父母双方の合意が必要になる」という形で進み、それが、5月以降は「重要事項に限らず子どもの日常的な監護全般について、監護親が単独で行ってもよいが、双方に権限を与える」と変化しているのだそうです。また、意見が合わなければ裁判所に申し立てれば時間も労力もかかり、安定した養育環境が損なわれる。裁判所が決定するので、子の意見は必ずしも尊重されないというのです。
これらは父母双方に「真摯な合意」がある場合(DVではない場合)を想定しているとのことですが、それを第三者が何を基準にどう判断するのか等、不明なままでは、共同親権の強制をとめどもなく行う事になりはしないでしょうか。DVや虐待は潜在化して日常の中で行なわれているのです(内閣府の調査資料/配偶者からの暴力被害経験は4人に1人)。そうしたことが社会的に認識されないままに、離婚後の養育をめぐって法制度が決まっていくことは、とても危険なことだと思います。
法律の構成や内容が難解で、私自身の超不得手とするところです。法制審の議論も変動しているので、下記の弁護士の会note等を見ながら、現実に根差した声を上げていければと思っています。
夏の熱波に負けず、可能な行動をしていきましょう。声を広め、届けていきましょう。
〇「共同親権の問題について正しく知ってもらいたい弁護士の会」
https://note.com/kyodo_shinpai
〇「#ちょっと待って共同親権 法務省の審議会に慎重な議論を求めます!」
【署名URL】https://www.change.org/chottomatte-kyodoshinken
【広報キャンペーン費用のためのクラウドファンディングURL】https://rescuex.jp/project/76634
※この記事は、学会、フェミニストカウンセラー協会、フェミニストカウンセリング・アドヴォケイタ―協会が持ち回りで投稿しています。