2023年を「新しい戦前」としないために
2023年1月1日、皆さんはどのような新年をお迎えでしょうか。昨年は当会の活動へのご協力ありがとうございました。
2019年に始まった新型コロナ感染は増減を繰り返しながら今も続き、現在の流行は第八波と言われています。死者数は前年を大きく上回っていますが、今のところこれといった対策は取られていません。この年末年始が終わった後、感染状況はどうなっているでしょうか。
昨年はオンライン中心の活動となり、会員の皆様には、いろいろとご不便をおかけしました。コロナそのものの影響はすこしずつ小さくなっているように思いますが、全くなくなるというわけには今年もいかなさそうです。
さて2023年。「徹子の部屋」に出演したタモリさんの「2023年は『新しい戦前』になるのではないか」という発言が各所でとりあげられていますが、反撃能力という名の敵基地攻撃能力の保有が閣議決定された今、本当にそうなるかもしれないと思えてきます。
こうした懸念につながるものに、人権を守るための活動に向けられる誹謗中傷があります。例えば伊藤詩織さん、五ノ井里奈さんなどの、女性の人権と正義のための闘いがありますが、こうした戦いには、当事者のメンタルの保持が困難になるほどのバッシングや誹謗中傷が向けられます。女性議員をはじめとする意見を言う女性たちにも同様の攻撃が向けられています。3月の辻元清美さんの事務所への襲撃は、yahooニュースでの誹謗中傷コメントに触発されて行われました。
同様の誹謗中傷に、Colaboに対するものがあります。東京都から女性支援に関する委託を受けているColaboですが、公金の不正使用がある、委託費の中抜きをしている、生活保護ビジネスをしているなどと毎日のように荒唐無稽なデマ情報を流されています。そのために利用者の安全が脅かされているとのことで、昨年11月29日、デマ情報を流している代表的な人物1名に対して、Colaboは損害賠償請求の訴えを起こしています。弁護団は彼らが行っているのは、サイバーハラスメントであり、根底には女性差別、ミソジニーがあると断じています。ぱっぷす、若草プロジェクトなども同様の被害にあっています。誹謗中傷やヘイトは言っているだけ、無視すればいいというものではありません。辻元さんの例にみられるように、それらはそのまま女性に対する暴力的な攻撃につながりますし、朝鮮学校やウトロへの襲撃に見られるように他者、他国への差別と攻撃、そして戦争へとつながります。
女性に対する誹謗中傷の酷さ、近隣諸国に対する敵対的な言論、さまざまな困難を抱えた人々に対する蔑視、差別等々のいずれを見ても、平和で人権が尊重される、人々の幸せを最優先にする社会とは思えないような現状があります。
こうした女性に対する誹謗中傷にどうやって対抗するか。難しい問題ですが、少なくとも2023年を「新しい戦前の始まり」としないために、私たちにできることを考えていきたいと思います。
※ この記事は、学会、フェミニストカウンセラー協会、フェミニストカウンセリング・アドヴォケイタ―協会が持ち回りで投稿しています。